マインドフルネスで心もキレイに!効果と実践方法まとめ

プライベートや仕事で特に問題を抱えているわけではないのに、何だか気がせわしなくて落ち着かない、気分がもやもやしてスッキリしない…といった経験はありませんか?
それは、日々のストレスが知らないうちに溜まっているのに、うまく発散できていないことに原因があるかもしれません。
友だちとおしゃべりする、エステやカラオケに行く、美味しいものを食べに旅をするなど…。
ストレス発散にはさまざまな方法がありますが、コロナ禍を境にめっきり機会が減ってしまった、外出しないことに慣れてしまったとう方も多いでしょう。

ここでは、自分で自分の心身を整えるリラックス法「マインドフルネス」について、基礎知識や得られる効果、具体的な実践方法についてご紹介します。
気分を切り替えたい時やリフレッシュしたいときなど、ちょっとした場面ですぐに実践できる方法もありまので、ぜひ気負わず試してみてください。

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、「今、ここにいる自分」に意識をフォーカスして、集中状態を得ることです。過去や未来に対する不安といったネガティブな思考を頭からいったん取り除き、今起きていることに集中して意識を向けることで、ストレス軽減やパフォーマンスの向上につなげます。

マインドフルネスと聞くと、瞑想やリラクゼーションの一種のように捉えている人もいますが、少しニュアンスが異なります。
マインドフルネスは、今感じる必要のないストレスに心が乱されないように、自ら意識して気持ちを整えること。
瞑想やリラクゼーションは、あくまでも「今ここ」に集中するための手段です。

本来、マインドフルネスの考えは仏教の教えに由来したものでしたが、近年、独自の進化を遂げて宗教色がなくなりました。
また、その効果の高さから、医療やビジネスの世界でも取り入れられるようになり、現在では医療プログラムや自己啓発スキルのひとつとして世間に広まっています。

マインドフルネスの実践方法を知り、繰り返し訓練さえすれば、思い立ったときにいつでも「今ここ」に意識を向けることができるようになります。それ故、マインドフルネスは「心と脳の筋トレ」とも呼ばれているのです。

マインドフルネスが注目される理由

マインドフルネスが特に注目されるようになったきっかけが、新型コロナウイルスの流行による世界的なパンデミックです。
パンデミックによって、世界中の人々が一斉に生活環境の変化を余儀なくされました。
先の見えない不安だけでなく日々のストレスの逃げ場も失われ、心がせわしく落ち着かない状態が続いたことで、ストレスを抱える人たちが増えてきました。
人との関わりや外出が制限されるなか、ストレス状態から抜け出すには、自分で自分の心をケアする必要があります。
いつでもどこでも、1人でも実践できるメンタルコントロールメソッドという理由から、マインドフルネスが大きな注目を集めるようになりました。

マインドフルネスの効果やメリット

集中力が高まる

人間は、強く意識しないと「今ここ」から集中力が逸れ、あれこれ考えて「心ここにあらず」の状態になってしまいます。これを「マインドワンダリング」と言い、マインドフルネスで集中力を高めることによって防ぐことが可能です。
マインドフルネスを行なうことによって、目の前のことに集中できる時間が増え、パフォーマンスが向上したり生産性がアップしたりします。また、学習力や記憶能力が向上する効果もあると報告されています。

ストレスを軽減する

人は、つい過去や未来のことを考えて、変えられない過去やまだ起きていない未来について恐怖や悲しみを感じる性質を持っています。
特にネガティブな内容に対しては考えを占める時間が長くなるため、不安やストレスが増幅し、脳や心に悪影響を与えてしまうのです。
マインドフルネスによって「今ここ」に意識を向け、集中すれば過去や未来について考えない時間が生まれます。そのため、結果として不安解消やストレス軽減につながるのです。

自己認識能力が高まる

マインドフルネスは、自己認識力を高めるのに効果的とされています。自己認識力とは、自分の内面の状態や考えを客観的・俯瞰的に認識すること。
自分を客観視できると主観に基づいた判断をしなくなるため、何事にも動じず冷静な対応ができるようになります。
それにより判断力が向上し、人間関係の構築やコミュニケーションがスムーズになります。
そのため、自己啓発スキルの向上を目的に学ぶ人も多くいます。

そのほか、マインドフルネスを行なうと感情のコントロールがしやすくなるため、不安障害やうつ病、摂食障害、依存症などの改善や防止につながるとされています。
このことから、メンタルケアが必要な医療現場や企業研修などにも取り入れられています。

マインドフルネスのリスクやデメリット

集中力を高める効果やストレス軽減など、マインドフルネスにはさまざまなメリットがありますが、必ずメリットだけを得られるとは限りません。
以下のリスクやデメリットも考えられるため、十分に理解した上で実践する必要があります。

マインドフルネスに依存してしまう

あまりにもマインドフルネスに傾倒しすぎてしまい、マインドフルネスをしないと集中できない、マインドフルネスをしなければ不安になるなど、強迫観念にとらわれてしまうことがあります。
マインドフルネスは、気持ちをリセットしたり集中したりするための手段のひとつにすぎません。気づいたときに行うだけでも、気持ちを切り替える感覚は十分に得られます。
また、必ずしも毎日行わなくてはならないといった厳しい決まりやルールもありませんので、依存状態にならないよう、適度に取り組むようにしましょう。

不安な気持ちが増幅することがある

マインドフルネスで自分自身と向き合うことによって、自分の心の中の悩みが浮き彫りになり、より不安な感情を感じてしまうことがあります。
また、マインドフルネスを「正しくできているか」「効果が出ているか」など、マインドフルネスの行為そのものに対してもナーバスになってしまうことがあります。
不安を感じやすくあまりにも繊細になっているときは、マインドフルネスを一時的に中断するなど、無理をしないことが大切です。

マインドフルネスそのものがストレスになる

マインドフルネスを行ってもどうしても集中できない、気が逸れるなど、上手くできないとストレスに感じてしまうことがあります。マインドフルネスを言われた通りに実践したからといって、すべての人がすぐに集中できるようになるわけではありません。心身をリラックスする目的からも、肩の力を入れず、気軽な気持ちで取り組みましょう。集中できないようであれば日をあらためたり時間帯を替えてみたりするなど、負担にならない程度に実践してみてください。

禅病や魔境のリスク

過度なマインドフルネスへの取り組みは心身にとってよくありません。禅病や魔境になるリスクもゼロではないため、過度な傾倒や長時間の没頭は禁物です。
禅病とは、僧侶が瞑想に没頭し過ぎるあまり、運動不足から自律神経のバランスを崩してしまうこと。
魔境とは、禅の修行中に感覚が研ぎ澄まされてしまうことで錯乱状態に陥ることを指します。禅病や魔境は、心身の緊張状態からリラックス状態に切り替わる際に発症しやすいと言われており、幻覚や幻聴、被害妄想などの症状があらわれることがあります。
心身のバランスを整えたいのにかえって崩してしまっては、元も子もありません。
マインドフルネスは無理をせず、短時間を心がけて取り組むようにしてください。

マインドフルネスのやり方

マインドフルネスでよく取り上げられるのは瞑想や呼吸ですが、それだけではありません。
日常生活を行ないながらすぐに実践できる方法もあります。
ここでは、初心者でもはじめやすい呼吸、感覚、動作のマインドフルネスのやり方をまとめました。

呼吸を意識するマインドフルネス

呼吸に意識を向けることで、「今ここ」に集中します。はじめは目を軽く閉じるか、薄く開けて斜め前を見ると集中しやすくおすすめです。
息を吸ったとき、ただお腹や胸がふくらむのを感じます。コントロールせず、一番したいように呼吸しましょう。息を吐くときも同じように、お腹や胸が縮むことだけを感じて呼吸します。
5分程度の短い時間でOKです。雑念が浮かんできても大丈夫。それをただ受け止め、心の中で「戻ります」と言って呼吸に意識を戻します。

飲食時に意識するマインドフルネス

飲み物を飲むときや食事の際にできるマインドフルネスです。まずは、目の前の物の香りを意識して、味をイメージします。その後、実際に口にして、喉を通り、胃に到達するまでの流れに意識を向けます。ドリンクなら飲む感覚に集中して、飲み物の喉越しや温度を感じてください。

日常の動作で意識できるマインドフルネス

散歩や洗い物をしているときなど、日常の動作で「今ここ」に意識を向けることもマインドフルネスにつながります。歩いているときなら、体重がどのように移動しているか、かかとが地面についたときの硬さはどうか、股関節や腰はどう動いているかなど、歩く動作に集中して意識を向けてみましょう。洗い物をしているときなら、スポンジを手にする感覚や泡立ち、水が冷たい感覚、お皿を持つ重さなどに意識を向けます。

このように、マインドフルネスは日常生活を過ごしながらでも、意識さえ向ければどんなときにも気軽にできるリラックス方法です。
マインドフルネスを繰り返し実践していると、常にマインドフルネスな状態を保てるようになります。
考えなくても良いことに頭を悩ませたり不安を感じたりする場面が減り、毎日をポジティブに、イキイキと過ごせるようになるでしょう。
気楽にコツコツと、できることから取り組んでみてください。